平成16年(わ)第726号の第五回公判の傍聴に行ってきました。

今日の傍聴券の配布は、前回と同じ先着順74枚でしたが、傍聴席の空きが多かったです。
こんなぐうたらな裁判なんて見てても面白くないと思い始めた人が続出しているのでしょうか。
それとも、今までのように金曜日ではなく、水曜日だったのが効いているのでしょうかね。


それではいつもの注意書きから。
以下は、実際の発言とは異なる可能性が 大いに あります
以下のやりとりがホントにあったと信じるのは自己責任で


被告人と数名の弁護士は、裁判長が入ってきてからの入廷でした。
待ち時間の間に、弁護士側は前回の最後にあった雑誌について、ブツとしての雑誌の提出には異議なし との意を表した。
前回二人目の今はハイテク犯罪対策室所属ではない方への主尋問の続きから。


前回、雑誌について尋ねられたのを覚えている。
平成15年11月27日は、井上被告人方に行っており、日付の言い間違いであった。
甲179〜182号証の雑誌の押収に被告人方に行ったのは、平成15年12月26日である。
ここで、検察側が雑誌の内容に触れようとしたところ、弁護側から異議が唱えられた。
そこで、検察側は前提から入ることにした。

甲179〜182号証の12冊の雑誌の中を見たことがある。
Winny著作権法違反に関する記事があることを確認した。
これにより、被告人がこれらの記事を見れる状態にあったことが確認できた。
甲179号証の5冊のうち2冊について

netbumの2002年Vol.3
 17ページから、超Winny派宣言 と題して、Winnyにはどのような機能があるのか等が記載
 29ページには、ACCSクボタの発言 と題して、著作権法違反についての記事
netbumの2002年Vol.1の見開き
 ひろゆきマツダ(何とか)の会談 と題して、ファイル共有ソフトなどについての会談の記事
甲180号証について

DeepNet Vol.01の9ページから
 世界初のWinMXでの著作権法違反、逮捕者独占インタビュー と題した記事
DeepNet Vol.02、表紙が赤の雑誌
 見開きに、ファイル共有の違法ユーザにACCSが警告を発している記事
 18ページから、WinnyWinMXの合わせ技で快適(何とか)生活 と題した記事
甲181号証について

DeepNet Vol.02、表紙がオレンジの雑誌の4ページから
 著作権法改正による違法ファイル共有壊滅のシナリオ と題した記事
甲182号証について

PC・GIGA 2002年12月号
 Winny極楽入門 と題して、Winnyの使用法などが記載
ネットランナー 10月号(おそらく2002年)、表紙がオレンジの雑誌の21ページから
 Winnyユーザに警告メールが来た との内容の記事
iP! 2002年12月号の21ページから
 あぶないファイルをがんがん落とせ−悪魔の共有バイブル と題して、共有ソフトの種類や歴史などの記事
続いて弁護士側からの尋問。

ハイテク犯罪で関わった事件、WinMX電子マネー不正アクセスは全て正犯であった。
PCは職場だけでなく、個人的にも使用している。
2つのPC間で、HUBとLANケーブルを使ってマニュアルなしでの接続はできない。
ADSLのモデムを使って、新品のPCをマニュアルなしでインターネットに接続するのは、接続に必要なIDやパスワードは見なければならないが、できると思う。
Winnyは捜査のみで使用し、個人的には使用したことがない。
上司から説明を受けたり、雑誌、WebページかWinnyの使用法を得た。
上司とは、ハイテク犯罪対策室の室長の警部補である。
Webページは、Winny Tips の他には記憶にない。
雑誌は、ネットランナーだけは覚えている。
警察以外の人から使用法のレクチャーを受けたことはない。
Winnyの使用法は警察内部でも手探りで得ているのですか。
Winnyの仕様はソースコードを見れば全て分かると思うのですが、入手したソースは捜査のどこにも活用されていないのでしょうかね。

甲67号証の接続実験ついて

PCに関する知識は、同行した警部補、二官と自分を比較すると、二官が最もあると思う。
二官から検証についてのアドバイスを受け、自分は記録を担当していた。
捜査時には、PCを起動して、Winny2を起動した。
捜査中、Winny2は途中で一度だけ終了させた。
Winny2をきどうさせたまま、PCの操作をしていた。
そのとき、実験によるもの以外で、ファイルの送受信が行われていたのかは分からない(?)。
捜査に着手したときと、終了したときで、HDDの状態がどのように変化したのかは分からない。
接続経路の検証を行った。
ルータは接続されていなかった。
当該PCのTCP/IPの設定は覚えていない。
IPは自動取得であったと記憶している。
PCでDHCPが有効かどうかは記憶にない。
DNSの設定は覚えていない。
WINSの設定は覚えていない。
ネットワーク接続の詳細は覚えていない。
プライベートIPアドレスや、サブネットマスクは覚えていない。
ipconfigというコマンドは知っているが、そのときは使用していない。
確認くんでIPなどを調べた。
被告人のPCがどのようなネットワークの状態で接続されているのかを確認した。
調書では「ダイアルアップ接続により接続されていた」としているが、ダイアルアップ接続の詳細は記憶にない。
ファイアーウォールの有無は記憶にない。
甲67号証の30ページあたりにダイアルアップ接続のことが書いてある
ファイアーウォールやウィルス対策ソフトの設定は覚えていない。
ウィルス対策ソフトがインストールされていたかどうかは覚えていない。
これらの確認作業があったかどうかについても覚えていない。
Winny以外にどのようなソフトが入っていたか調べたとは思うが、覚えていない。
Windows XPのProfessional Editionであった。
リモートアクセスサーバがインストールされていたかどうかは分からない。
接続実験を開始した時刻は、甲67号証には記載されていない。
実験の開始前にHDDのバックアップは行っていない
実験前にウィルスに感染しているかどうかの確認はしていない。
HDDの状態は、実験の開始前には調べていないことになる
平成15年9月24日や25日に当該PCが使用されていたことを示すものはない(?)。
実験時の京都府警側のPCの設定は、自分で設定していないのでわからない。
ルータがあったかどうかは分からない。
実験の手順について、京都府警側と打ち合わせをしていたのかどうかは、自分には分からない。
打ち合わせなしでは、接続実験はできないと考えている。
京都府警側の回線は光通信である。
接続実験時に、当該PC内のアップフォルダを変更した。
エクスプローラ上での操作だけであり)Winnyの操作としては変更していない。
もとのアップフォルダの名前を変えて、新しく同じ名前のフォルダを作成した。
事前に、その手順のうまくいくかどうかの確認作業はしていない。
名前を変えた、前のフォルダから、ファイルの送信が行われていたかどうかは分からない。
アップフォルダは3つあり、そのうちの2つには手を加えていない。
甲67号証の83ページに キーロストによる切断 とあるが、自分には原因は分からないし、調べてもいない。
キーロストによる切断により、50MBのファイルは送信できなかった。
問題のアンブレイカブル(?)のファイルの大きさなどは分からない。
ビューティフルマインド 916MB などと記載されているが、これが送信できないかどうかは分からない。
京都府警側からの送信は行っていない。
(明示的に)京都府警以外のPCとの接続は行っていない。
この実験により、2PC間の接続を確認しただけになると思う。
実験に用いたPCって、押収せずに被告人宅に置いてあったPCでしょうか。
そうだとしたら、HDDがもともとどのような状態であるか記録や保存をせずに手を加えるなんてすばらしい捜査法ですね。
当該PCを実験と称して荒らして帰ったという感じでしょうか。

甲153号証について

この見分にはWinny2.0β7.1を使用した。
どこから入手したのか分からない。
誰が入手したものか分からない。
被告人からもらったものではない。
アップロード機能が制限されていないものかどうかは分からない。
インストールした人は分からなく、自分はない。
見分に使用したPCに、Winny以外にどんなソフトが入っていたかは分からない。
リモートアクセスサーバがインストールされていたかどうかは分からない。
Windows 2000のProfessional Editionであった。
インターネット接続環境は覚えていない。
使用したPCは、群馬との接続実験のときに使用したPCと同じかどうかは分からない。
ルータはあったが、設定は覚えていない。
DHCPやWINSの設定は覚えていない。
ファイアーウォールの設定は分からない。
ポートの設定はされていただろうが、どのような設定かは覚えていない。
自分は、ポートの設定はできないと思う。
この実験時にノードを新たに作っていたかは分からない。
自分はノードを作っていないので、介在するノードを使用した。
アップフォルダの設定について、甲153号証に記載はない。
Winnyの使い方については、室長の警部補から指示を受けていた。
そのとき受けた注意点などは覚えていない。
実験中に、他PCから京都府警内の自PCに接続があったかどうかは分からない。
他PCからの接続があった時に、その接続を確認できるようにしていたかどうかは分からない。
ウィルス対策はしていたと思うが、甲153号証に記載はない。
ファイアーウォールがあったかどうかは分からない。
Winnyを2時間起動させていた。
操作内容はよく覚えていない。
甲155、157号証についても、ネットワーク接続、ファイアーウォール、ウィルス対策ソフトの設定などは覚えていない。
ノードを自分で新しく作る云々ってあたりがよく分からなかったのですが。
Winnyを起動する=Winnyネットーワーク上で自Winnyが新たなノードとして加わる という解釈は間違っているのでしょうか。
教えて、せんせーさん。

先ほどの雑誌は、被告人の部屋の中のどこにあったかは分からない。
部屋の中はいろいろなものが散乱していた。
足の踏み場もない状態だったと言える。
すぐ目につくところにあったものもあるだろうが、覚えていない。
いろいろなものの下や、箱の中にあるものもあった。
それらの中に被告人が書いたものは無かったと思う。
Winnyの使用法を雑誌などから得たと言ったが、先ほどの雑誌の中にあったかどうかは分からない。
他人から見ればどこに何があるか分からないように見えても、樹海状態の部屋に慣れている人なら何がどこにあるのか把握できている場合がありますよね。
被告人の場合はどうなんでしょうか。

甲67号証について

実験の手順を事前に紙などに記録はしていない(?)。
事前に打ち合わせ等があったとは思うが、自分には分からない。
実験手順を決めたのは室長の警部補だと思うが、分からない。
事前にマニュアルやチェックリストは無かった。
捜査時に指示書などはなかった。
どの部分を記録するかの指示はなかった。
どの部分を記録するかは、3名が必要だと思うところを記録した。
記録漏れなどがあるかどうかは確認していない。
証人を除いた2名のうち、少なくとも1名はWinnyについてのかなりの知識を持っているのでしょうか。
そうでなければ、3名が必要だと思うところを記録するだけで十分な見分を行えるとは思えませんし。

証人として呼ばれることになってから、ハイテク犯罪対策室の人と話をしていない。
先ほど、捜査員の具体的な名前を挙げるのを躊躇ったのは、誰かの指示ではない。
名前を挙げないでおこうとするのは、その集団を守ろうという心理が働くからなのでしょうか。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスがあるのは知っている。
確認したのはどちらか分からない。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスは番号帯が違うのは知っている(?)。
確認くんで確認したのはどちらなのか分からない
実験中にWinnyを一度終了したのは、キーロストが出たために中断した。
キーロストはなぜ出るのか分からない。
同行した警部補からの指示により一度終了した。
その場での指示はその警部補からであった。
なぜWinnyを終了させるのかは訊いていない。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを知っているのに、Webブラウザで確認くんを見たときの情報がどちらなのか分からないというのは、違いが分かっていないと見ていいのでしょうね。
つまり、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違いは名前だけしか知らないということですか。

153号証について

Winny2.0β7.1を使用するように指示したのは誰であるか分からない。
それを使用したのは、見分に使用したPCに入っていたからである。
誰がそのPCを使用するように言ったかは分からないが、おそらく室長の警部補だと思う。
検察官との打ち合わせは、前回の公判の1週間ほど前に一度だけ行った。
甲67号証は公判の前に読んでいた。
前回の公判で見たものは事前に見ていた。
どのような主旨で尋問に「キーロスト」があったのか検察官から聞いていない。
検察側からの今日用いた証拠の取調請求があり、弁護側も承認。
検察側が甲179〜182号証の雑誌を被告人に見せる。
弁護側から、証拠取調請求された証拠についての意見書を読み上げた。

以下の理由などにより、甲69、91、93、95、97、98、101、109、110、111、121、158、161号証の証拠採用の取り消しを求めた。

被告人のPCの状態のみを示したもので、Winnyとは関連性がない。
ものの形状、配置などは制作者である捜査官の主観的な意志が入る。
実況見分調書ではなく単なる報告書は証拠としての能力に欠ける。
被告人に対する人格攻撃の意図が明白であり、制作者の意図が大いに入っている。
著作物であるかどうかの種別の記載は、捜査官による主観的な法的判断である。
記載内容の収集法が不明確な上、制作者の主観的な価値判断が含まれている。
また、進行において、Winnyの技術的な部分での立証がないとの意見を示した。
検察側は、理由がないものとして認められない とした。
ここで、裁判所は8分間ほど裁判官3人による協議を行った結果、甲158号証の採用は取り消すとした。
意見書に際し、検察側はそれぞれの証拠の要旨について述べた。

甲69号証 井上被告人のPC内のファイルの状況
甲91号証 被告人のWindy製PC内のファイルの内容など
甲93号証 被告人のCompaq製PC内のファイルの内容など
甲95号証 5月10日に押収したCube型PC内のファイルの内容など
甲97号証 5月10日に押収したIBM製PC内のファイルの蔵置状況など
甲98号証 HDDケース内の2台のHDDのファイルの状況
甲101号証 Windy製PC内のファイルの状況
甲109号証 Windy製PC内のファイルの蔵置状況など
甲110号証 消去されたファイルの復元
甲111号証 nycacheにより得たファイル名一覧
甲121号証 IBM製PC内の被告人と奥村弁護士とのメール
甲161号証 過去のWinny BBSの記載状況
次に弁護側が、11月16日に検察側から提出された意見書に対しての反論を述べた。(拾えた部分のみ)

この訴訟の、ソフト開発に対しての影響を検察は考えていない。
Winnyがどのようなソフトか、P2Pがどのようなものか裁判所が分かっていない。
開発者に無用な萎縮を与えていないと言えるのか。
日本のコンピュータプログラム開発を阻害していないと言えるのか。
Winnyのどの部分が幇助に当たるのかを示していない。
こちらからの再三の釈明要求に対して、釈明の要なし だけでは逃げているだけである。
IP立国として生き抜くためには、どのようなソフトであれば幇助であるとされ、どのようなソフトであれば幇助とはされないのか明確にする必要がある。
初公判において、書き込みに著作権法違反を幇助する意図が含まれているとしたが、2ch上のどの発言が被告人のものであるかを未だに立証していない。
これに対する今のところの意見等はあるかとの裁判所の問いかけに対し、検察側は、今の段階ではない とした。
裁判所は、次回は12月17日であると述べ、次々回以降の公判期日について、予定として1月14日、2月4日、2月25日、3月18日のいずれも午後1:30〜5:00を挙げた。
今日はこれで終わりです。


今日の証人は、覚えていない という言葉を連発していました。
その時は知っていたのだが、今となっては忘れてしまっている という意味合いではなく、都合良く忘れてしまった という意味合いで聞こえるところがあったような気がするのはわたしだけでしょうか。
そろそろ傍聴が退屈になりつつあります。
検察が、Winnyの開発か公開かのどの部分が幇助にあたるのかを明確に示せるような主尋問を行ってくれないとなぁ。