判決要旨っぽいのを発見。

この中に以下のような部分があります。


また、正犯者らが著作権法違反の本件各実行行為に及ぶ際、ウィニーが、重要かつ不可欠な役割を果たした▽ウィニーネットワークにデータが流出すれば回収なども著しく困難▽ウィニーの利用者が相当多数いること、などからすれば、被告のウィニー公開、提供という行為が、本件の各著作権者が有する公衆送信権に与えた影響の程度も相当大きく、正犯者らの行為によって生じた結果に対する被告の寄与の程度も決して少ないものではない。
この部分に関して、最後の「正犯者らの行為によって生じた結果に対する被告の寄与の程度も決して少ないものではない」に係る理由に疑問が。


たとえば、Winny以外のプロトコルで行われる著作権法違反行為について。
少し前のネット上でのWarezといえば、HTTPやFTPで行われるのがほとんどでした。
今もかどうかは知りませんが、日本語を使用できるユーザがフリーのストレージを使用した著作権法違反行為(?)は相当多数行われていました。
また、海外サイトでは現在でも公然とWarezを扱っているところをすぐに見つけることができますよね。
それが、現在ではP2Pが主流と言われるようになってきており、そのうちの一つにWinnyが挙げられるというだけ。
(HTTPやFTPでも、あるユーザが他ユーザにコンテンツを提供するためにHTTP/FTPサーバとなればP2Pと言えますが)


「重要かつ不可欠な役割を果たした」という部分に係るWinnyに相当するのは、HTTP/FTPのサーバ、クライアントおよびそのプロトコルでしょうか。
HTTP/FTPの利用者数はWinnyなんかの比じゃありませんし、世界中で見ればHTTP/FTP経由の違法コピーによる被害総額もWinnyのそれを遙かに超えるのでは。
また、データ流出については、一度流出したら回収困難なのは何もWinnyネットワークに限ったことではなく、S/Cモデルであってもそのデータを取得したユーザが再配布することを考えれば同じでしょう。
ある箇所で公開されているデータを誰が取得したかまでを追跡可能な手段はWinnyもS/Cモデルも同じことですし、その取得した人からさらに他の人に渡ることの追跡が困難なのも同じこと。
取得した人が能動的に拡散させる意志があるかどうかの有無によってその困難さは変わりますが、判決では述べられていたかもしれませんけど、ここの内容には記載されていませんし。
そもそもデータ流出はWinnyのせいではなくて、情報セキュリティの対策が不十分なところから、ウィルスや人為的操作によって流出に至った場合がほとんど。
P2Pファイル共有ソフトばかりが悪いように言う人が多いわけですが、従業員が一般的なウィルスによるそのような被害に遭うことを防ぎたい団体は個人の私用PCに対してウィルス対策ソフトのライセンスを配布してみるとかどうでしょう;p


ということで、Winnyの何がどのように他と違うから、正犯らの行為に与える影響が特に大きかったのか、よく分かっていない人がここに。