平成16年(わ)第726号の第六回公判の傍聴の続き。



2人目の証人に対する検察の尋問から。


拝命は昭和(6?)年で、階級は警部補であり、現在は府内の警察署勤務である。
平成13年3月から平成16年3月までハイテク犯罪対策室所属であった。
ハイテク犯罪対策室への配属以前に1、2件、ウェブサイトでのわいせつ物陳列の件を捜査したことがある。
不正アクセス事案としてYahoo!AuctionのID、パスワードの改竄を、また、掲示板を利用した覚醒剤事件や名誉毀損等々を扱ったことがある。
Winny関連では正犯2名の捜査に関与し、被告人への直接の関与はない。


送受信実験について

平成15年11月27日 群馬、愛媛からのファイル送信実験に関与し、ハイテク犯罪対策室で受信の検証に参加した。
検証には(事務技官?)、近畿管区警察局通信部の人、自分が参加した。
事前に誰が何をするとは決めておらず、自分がPCの前に座って、自分がPCの操作をするときには事務技官が写真撮影、事務技官がPCの操作をするときには自分が写真撮影を行った。
最終的にはどちらからもファイルを受信できた。
最終的というのは、途中でキーロストで切断したが最終的には受信できたということである。
甲34号証が愛媛から、甲68号証が群馬からの受信の検分調書である。
続いて弁護側からの反対尋問。

著作権法違反は正犯以外にはオンラインストレージの音楽のやりとりに関わったことがあるが、幇助事件の捜査には関わっていない。
著作権法についての講義や勉強は、自分たちが読めるレベルの本で見た程度である。
個人としてPCの使用は平成10年からである。
個人としてインターネットを利用したことがあり、自宅では以前はK-Opticomのサービスを利用していたが、転勤後はサービスエリア外のため使える状態ではない。
その接続の設定はマニュアルを見て自分で行った。
(インターネット上からソフトウェア等のオンライン購入は日常的には行っていない?)
インターネットやPCに関する専門的な資格は持っていない。
捜査以外でWinnyを使用したことはない。
捜査に必要だったので自分のPCにWinnyを入れて捜査を行った
そのWinnyは被告人が開設したと思われるHPからダウンロードした。
接続の設定の手順は、ダウンロードしてから、初期ノードのウェブページ(に?)書き込みをして、繋ぐことができた。
ファイルのダウンロードは捜査以外ではしていない
操作法はネット上にあったTips等のリンクで繋がった数々のサイトで勉強した。
個人所有のPCにWinnyを入れなければならないのは、捜査用のPCが不足しているということでしょうか。
もしそうならば、必要な機材が不足するほど財政難という状況の中での捜査ということになるのでしょうか。
初期ノードHP と 書き込み との接続詞が分からないのですが、書き込み という言葉を使っていたことから自ノードを晒した可能性があるような気がします。
それとも、初期ノードHPからコピーしてきたノードを自Winnyに登録することを 書き込み と呼んでいたのでしょうか。

送受信実験について

平成15年11月27日の午前は愛媛から1回、午後は群馬から1回、受信をした。
被告人宅に捜査班が行ったとは知っていたが、接続実験をする予定はなかった。
この日の捜査の指示は、班長、警部補クラスが行った。
接続実験の目的は、正犯PCから送ったファイルが受信できるかどうかの実証のためであった。
府警のPCの設定は技官等々が行い、自分は設定していない。
どちらが先に始まるかわからないのでPCを2台準備した。
甲34号証のネットワーク構成図は、自分が教えてもらいながら作成した。
一つのテーブルに2台のPCを置くことは自分がした。
(図を見ながら)2台が同時に繋がる図なのかどうかはよく分からない。
自分はLANケーブルが繋がっていた2台のPCの場所を移動しただけである。
3人の他に立ち会った人はいなかった。
室長は現場に行っており、自分の記憶では愛媛だったと思う。
愛媛に行っていたが、実験に立ち会っていたかどうかは分からない。
(事務技官?)は普段はウィルス情報等を自分たちに教えるなどの仕事をしており、実験のPCの設定はしていない。
近畿管区警察局通信部の人はPCの知識が豊富であり、危機的なトラブルのためにおり、自分が記憶している限りではPCの操作はしていない。
ルータを触っているとしたら本日1人目の証人である。
PCの設定は誰が行ったのか分からない。
府警本部のWinnyのバージョンは、Winny2の7.1だっただろうか、分からない。
見分用のPCに誰が入れたのか、どこから入手したのか分からない。
その日は2台だけしかPCを準備していなかった。
TCPモニタを起動していた。
TCPモニタには対象者のIPアドレスとポート番号が表示される。
甲34号証について

この日の愛媛のIPアドレスの特定は、現場から電話連絡で行った。
写真番号7にこれまでの内定捜査とあるが、これは掲示板等の被疑者を特定する捜査全てを指す。
Winnyで「愛媛です」というファイルを検索した。
50MBのファイルはダウンロードできなかった。
何回かやったが、原因は分からない。
3人で話し合っただろうが、原因までは分からなかった。
2MBのファイルはダウンロードできたかどうか覚えていない。
ファイルサイズを下げて行ったのは、時間がなかったためである。
50MBのまま続けなかったのは、現場はそれ以外のこともやっているためであり、時間をかければできた可能性がある。
2MBのファイルで何回かやり直してみてもダメだったが、原因は分からなかった。
600KBのファイルは受信できた。
結果的には600KBのファイルしかダウンロードできなかった。
愛媛の正犯は700MBを流していたが、今回の結果から、そのようなファイルが送信できないということにはならない(?)。
甲34号証の最後から3枚目の実況見分結果に「Winny上の数十万人が同時に使用するネットワークからダウンロードするのは(難しい?)」とあるが、何が原因でダウンロードできなかったのか分からない。
甲68号証について

50MBは失敗したが、8MBは成功した。
正犯はかなり大きなファイル容量のものを流しており、1GB弱はあったのではないかと思う。
時間とネットワーク環境が変われば送信することが可能である。


使用したWinnyはどこからダウンロードしたのかは記録にない。
Winnyは複数のサイトに置かれていたが、使用したWinnyが改変されたものかどうかは分からない。
設定如何により使用できる機能が変わるが(何とか) と尋ねられると、質問からして分からない と答えた。
誰がどこから入手したかを記録しておくべきだったかどうか尋ねられると、時間がなかったのではないか と答えた。
その時はどこから入手したかがそこまで重要だとは思わなかった。
ファイルを群馬、愛媛に持参したファイルを50MBにした理由は特になく、誰の指示でもない。
正犯が流したGBAや映画のサイズのファイルのダウンロード実験を行ったかどうかは聞いていない。
GBAや映画のファイルサイズが50MBより大きいという認識については、当然大きいと考えている。
時間やネットワークが変わればダウンロード可能であろうが、後日実験はしていない。
捜査本部で、時間やネットワークが変わればダウンロード可能であることを後日言っていない。
小さいサイズのファイルが云々ではなく、ダウンロードできたということを検証した。
事前に大きいサイズのファイルの受信ができることを確認していたはずである。
Winnyのインストール直後に大きいサイズのファイルをダウンロードできるかどうかは分からない。
今回の実験においては、50MBのファイルはダウンロードできなかった。


Winnyの使用法はHPから習得した。
被告人のHPから学んだかどうかは分からない。
被告人のHPにはインストールの方法は載っていなかったのではないだろうか。
初期ノードの設定が必要であることが被告人のHPに載っていたかどうかは分からない。
初期ノードの設定が必要であることは、HPや雑誌から得た。
マニュアル本は手元には無かった。
手控えを作っていなかった。
Winnyにはキーロストという表示はあるが、その時にどういうことをしろという表示はなかったと思う。
何か問題が起こったときにどのようにすべきかはWinny内には表示していない。


平成15年11月27日の実験について
具体的な手筈の指示は様々な人が出していた。
ハイテク犯罪対策室内で具体的な指示を出していた人は分からない。
誰から自分のすべきことの指示を受けたのかについては特定の人からは指示されていない。
自分から誰かに指示はしていない。
愛媛、群馬から携帯電話による連絡の応対は自分や(事務技官?)が行った。
近畿管区警察局通信部の人が連絡の応対をしたかどうかは覚えていないが、3人以外の応対はなかった。
携帯電話による連絡では指示なかったが話し合いはした。
指示はこのようにしろと命令することであり、話し合いはこうすればどうでしょうと提案から始めることである。
ファイルのサイズを小さくしたのは話し合いによるものであった。
現場からファイルサイズを小さくしてやってみないかと言われているとすれば、自分は肯定していると思う。
自分より高い階級は、愛媛には室長、群馬には警部補がいた。
本日1人目の証人はそのときは同階級であった。
近畿管区警察局通信部の人はPCに関する知識を持っていると考えている。
キーロストが危機的な状況かどうかは分からない。
ファイル送受信実験においてファイル受信ができないのは危機的な状況ではないのか と尋ねられると、何もできなければ危機的な状況である と答えた。
キーロストが出たとき、近畿管区警察局通信部の人は具体的にどうすればよいかを教えてくれなかった。
50MBのファイルを受信に失敗したとき、近畿管区警察局通信部の人に相談はしたが、どのようすればよいと言ったのかは分からない。
そのとき、どうしろという指示はしていない。
結果的に何MBのファイルサイズがダウンロードできたかどうかが重要ではなく、ダウンロードできたことが重要なのである。


用意して持って行ったファイルは50MBともう1つあったかもしれない。
それは50MBよりも大きいと思う。


自分には専門的な知識はない。
甲34号証の実況見分結果の「日々刻々と〜」という文章は自分が考えた。
キーロストなどのために何か解析する体制があったかどうかは分からない。
やるとしたら技官の人たちがやっているのであろう。
続いて3人目の証人に対する検察の尋問。

京都府警ハイテク犯罪対策室所属である。
階級は巡査長であり、拝命は昭和60年4月である。
いくつかの職場の後、平成13年3月にハイテク犯罪対策室に異動した。
ハイテク犯罪対策室への配属以前にハイテク犯罪を扱ったことはない。
わいせつ物2〜3件、不正アクセス3〜4件を専従し、Winnyの捜査は短期間の応援であった。
検証調書は4〜5件、実況見分調書は10件以上作成している。
被告人と正犯2名の捜査に関わった。


初期ノードHPの管理人宅にて

平成16年3月19日、初期ノードHPの開設者のPCの検証を行った(もちろん検察側は個人名を出して質問)。
第二回公判の1人目の証人が写真撮影のために同行した。
立会人の説明のもと、自分がPCの操作を行った。
Winnyに必要不可欠な初期ノードのサイトを作ったPCの証拠保全のためであった。
PC内には初期ノードHPに関するファイルや、Winnyを使ってダウンロードしたファイルがあり、その結果が甲151号証である。
尋問はここまでです。

弁護側は検察側に甲148号証と甲151号証の検証令状の内容の提出を要求した。
検察側は甲148号証は検討するとした。
裁判所は次回期日は1/14 午後1:30からとし、それ以降は、2/4 午後1:30から、2/25 午後1:30から、3/18 午後1:30からに確定した。
検察側は本日の尋問で新たに出た甲33、34、68、148号証の調書添付を求めた。
裁判所は甲63、37、(?)、157号証の提示命令を出した。
これで終わりです。


キーロストが大きな問題となっている感じですが、ソースを見ればすぐにすべてが解決するのではないでしょうか。
予算が少ないのかもしれませんが、捜査をするからにはソースを読める程度の知識を持った人を捜査チームに入れるべきです。